4） 航行中 ・ 漕ぎ出しは風上方向に向かいます。帰りは風下へ向かって漕ぐことになります。カヌーは原則的に風上に向け安定するようにできています。追い風・追い波は進路を定めにくいので慣れが必要です。 ・ 初心者の場合、最初は安定した海域で基本の漕ぎ方の練習をしましょう。 ・ やや長い航行では、天候、海況や他の海面利用者の状況を確認し、安全面に配慮した計画を立てます。また、航行中には状況に合わせて柔軟に判断を下します。 ・ 風を後ろにしたときのグループコントロールは、より配慮が必要です。「声が届く範囲でまとまって行きましょう」などと、参加者にあらかじめ話しておくと、風に流されて全体がばらばらにならず、安全に航行できます。 ・ 声が届きにくい海上では、簡単なパドルシグナルを使うと便利です。あらかじめ参加者との間で確認しておきましょう。一般的な例をいくつか紹介します。「パドルを立てる」は、集まれの合図。「パドルを横にする」のは、止まれの合図。そのほか、パドルで右左を指し、向かう方向を指示することもできます。 ・ 航路を横断するときには、事前に指導者が安全確認したのち、全員が集まって一気に横断するようにしましょう。 ・ 漁網や定置網、操業中の漁船に近づかない、などのマナーも大切です。 ・ 他の船と接近した場合の優先順序ですが、カヌー同士のすれ違いは、こちらから見た相手の右側に進路をとります。また、「レジャー船は漁船、商業船を優先させる」というマナーの原則があります。とはいえ、「ゆずり合いの精神で早めの回避」を心がけましょう。 ・ 疲れやアクシデントで参加者が漕げなくなったときや、岩礁に近づきすぎた艇を素早く引き離すときなど、トーイング（牽引）するという方法があります。しかし、安定しない海の上でニつの艇をつなぐことには、牽引中の衝突やロープが体に絡むなど非常に大きな危険が伴います。利点と危険性を十分理解し、訓練と経験を積んだうえでの「奥の手」だと考えましょう。トーイングに使うのは、指導者の体に直結したレスキューベルトとカウテールやロープ、あるいは両端にカラビナをつけたロープなどです。どの場合もクイックリリースでき、素早くロープから離れられることが前提です。また、着艇前には必ず切り離し、ロープを収納します。 5） 着艇（上陸）時 ・ カヌーイングの様々な場面の中で、いちばん事故が起こりやすいのが上陸する時です。指導者は、波の様子や参加者の様子を観察し、的確に指示を出しましょう。 ・ 着艇時、ロープ類は艇やひとに絡む危険性があります。着艇時には必ずパドルリーシュをはずし、係留用などのロープが艇から出ていないかチェックします。 ・ 出艇時と同じく、波打ち際で落水したとき艇の下敷きにならないよう、「陸、艇、人」という配置になるよう、しっかりと注意を促しておきます。 【海況が穏やかなときの上陸】 ・ 指導者が1人の場合は、先に上陸して参加者の艇をキャッチするとよいでしょう。状況によっては、沖に残って後ろから指示する方が確実で安全な場合もあります。 ・ 上陸時には、波に対して垂直に入るよう指示します。浜まで一気に乗り上げ、素早く降りて艇を浜に引き上げます。 ・ 2人艇の場合は、前のひとが先に降りて艇のバウを押さえて安定させ、後ろのひとが降りるのをサポートします。 【波が高いときの上陸】 ・ 波にもまれないよう、参加者には「波の後ろから行きましょう、波を追いかけて行きましょう」と声をかけます。波のタイミングを見計らって「GO」の声がけをするのもいいでしょう。波と波の間、次の波が来る前に素早く動いてもらうようにします。 ・ 参加者がうまく波のタイミングをつかめないときは、指導者が崩れ波の沖まで海に入って、参加者の艇を後ろから押しやるサポートの方法もあります。指導者は波のリズムを見て、波に食われないタイミングで艇を押しやり、一気に上陸させます。このとき、背の立たない深さなら指導者はアンカー役になってスターンにぶら下がります。背が立つ浅い場所なら、スターンに体重をかけて安定させます。 ● 上陸したら艇から離れるよう誘導し、波打ち際での艇との接触事故を防止します。 ● ライフジャケットは、体にフィットし脱落を防ぐ、股がけベルトつきのものを必ず使いましょう。 ● 服を濡らしたときの着替えやタオルを用意しておきます。 ● 移動中のパドルは立てて持つように指示します。パドルを振り回して、パドルチョップやパドルパンチの事故を起こさないよう要注意です。

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